臨床工学技士が行う人工心肺業務として誤っているのはどれか。2つ選べ。
a: 回路からの薬剤注入を行う。
b: 留置カニューレから採血を行う。
c: 回路の充填を行う。
d: 術野でカニューレを回路に接続する 。
e: 開始前に患者の静脈から採血を行う。
日本臨床工学技士会から出されている臨床工学技士業務指針「人工心肺業務指針」によると、
人工心肺は非生理的条件下で使用するため作動時間に比例した合併症が惹起される。そのため人工心肺は短時間使用を目指し、チーム全体で定型化した業務を行う。指示事項は一般的には人工心肺申込書等での一括指示方式で受ける。
とある。また、以下の記述もある。
Ⅳ.特記事項
1.患者(術野)側のカニューレはすべて医師により挿入され、人工心肺回路、心筋保護液回路などに接続・固定される。
2.医師からの指示により算出された人工心肺装置の操作条件及び薬剤の使用量に従い、臨床工学技士はこれらの条件等の設定及び変更を行い、医師に報告する。これらの指示については術前に医師から受ける書面等による指示の他、術中の指示についても、できる限り具体的に受けなければならない。
3.術前に、人工心肺装置の操作に必要な薬剤・治療材料及び使用する機器などの操作条件(監視条件を含む)の指示を医師から受けている場合であっても、業務を遂行するに当たり機器等の操作に関して疑義のある点については治療に先立ち、改めて医師の最終確認を受けなければならない。
4.回診や術前検討会に際しては、医師又はその他の医療従事者が必要とする情報の提供を十分に行う。また、臨床工学技士は人工心肺を操作する上で必要な情報については事前に入手し、適切な人工心肺計画を立てなければならない。
5.臨床工学技士は身体に直接針を刺して行う血管からの採血及び血管内への輸血・輸液等を行ってはならない。
6.留置カテーテル採血は医師の具体的な指示を受けなければならない(動脈ラインを含む)。人工心肺装置に設けられた採血ならびに輸液ポートからの採血・輸血・輸液等についても医師の具体的な指示に従い実施する。
7.心内除細動(開胸時)にあっては、通電用(刺激)電極を身体に接触させ、保持又は接続した後の固定は医師が行う(抜去にあっても同様である)。除細動のための出力値の設定は、医師の指示のもとで医療従事者が出力設定を行う。また、体表に貼られた除細動パッドについては、心電図の表示や接触抵抗表示を確認する。
8.人工心肺業務の対象となる装置は、人工心肺装置、冠灌流装置(心筋保護装置)、冷温水槽、術中自己血回収装置、静脈血酸素飽和度測定装置、連続式血液ガス分析装置等である。
9.IABP、ECMO、PCPS、VAS 等の補助循環装置業務は人工心肺業務に準ずる。人工心肺業務同様に装置の機器管理、臨床業務における治療の指示受けと確認、治療前から治療終了後までの対応について実施する。
10.手術中、患者移動、緊急時等に使用する医療ガスボンベについては酸素、二酸化炭素、ヘリウム、一酸化窒素などがある。目的に適した医療ガスボンベを使用する。取り違いが無いように十分に確認し、安全使用されるように管理する。
a:医師の具体的な指示の下、人工心肺回路や貯血槽への薬剤注入を行うことができる。
b:留置カテーテル採血は医師の具体的な指示を受けなければならない(動脈ラインを含む)。人工心肺装置に設けられた採血ならびに輸液ポートからの採血・輸血・輸液等についても医師の具体的な指示に従い実施する。
c:使用薬剤指示を確認し、回路を充填する。
d:正解。患者(術野)側のカニューレはすべて医師により挿入され、人工心肺回路、心筋保護液回路などに接続・固定される。
e:正解。臨床工学技士は身体に直接針を刺して行う血管からの採血及び血管内への輸血・輸液等を行ってはならない。